シクロクロスバイクが大好きな理由

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レースのシクロクロスが好きかどうかはさておき、シクロクロスバイクが大好きだ。

舗装路ではロードバイクよりはスピードに劣る。でもそれも言うほど遅いわけでもなく爽快感としては十分。

ひとたび砂利道に入れば、砂利を掴んでは放つを繰り返すタイヤの音が聞こえる。あれがいいんだ。空気圧の高いタイヤが砂を弾く音とは少し違うあれがいい。あの音を聞きながら集中して走れば、強い向かい風も忘れてしまう。

ロードバイクと同じ細いスリックタイヤもつくけれど、やっぱりね、シクロクロスバイクにはシクロクロス用のタイヤがいいんだよね。太いタイヤをつけるための設計の自転車に細いタイヤは似合わない。彼の家にお泊まりした小柄な彼女が、彼の服を借りてブカブカに。あれだわ。それ理想の展開だわ。例えを間違えたわ。

さぁ! 前を行く自転車からの跳ね上がる泥水も、しかと顔に受けましょう。どれだけ泥を愛せるか。泥にまみれたシクロクロッサーたちは美しいのだから。たぶん、そんな風に思う同志たち9人が荒川に集まった。

砂利道、泥道、けもの道(?)を繋ぎ、極力舗装路を避けながら、東京足立区から埼玉桶川のホンダエアポートまで行って帰ってくる。
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ペダリングを止めればすぐにとまってしまう凸凹の路面が休むことを許さない。普段、シクロクロスのレース会場で会うみんなだから、自然とだらしない走りも許さない。距離にしてたったの100km。されど100kmのハードな道のり。

丁度、この翌日の開催となるパリ・ルーベのコースのようにもみえなくない風景に心ときめく。意図せず水たまりに突っこみ、泥にまみれれば、歓喜の声があがる。土手を覆い尽くした菜の花の黄色に、半袖ジャージの季節を想う。走り飽きたはずの荒川もシクロクロスバイクがあればまだまだ新鮮だ。

なかでも、昼のうどんを求めて急遽コースを延長して走った埼玉県吉見の桜のゲートが本日のハイライト。桜吹雪とおじさんたちの対比で、桜はもっと美しくなれるんだ。
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うどんに満たされた復路、砂利道を欲して砂利へ砂利へとさまようとその道はループして、さっきみたばかりの3度目の桜のゲートへ戻ってしまった。シクロクロスバイクがもたらす感動の押し売り。

往路、復路でみた1度目2度目の桜には間違いなくときめいていたのに、道に迷ってからの3度目はありがたみが薄くなるという体験と発見はシクロクロスバイクの走破性がもたらしたサプライズだと言っていい。

きっとみんな思ってる。そんな自転車が好きだ。そんなシクロクロスバイクが大好きだってね。
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みんなが撮った写真はInstagramで#APArakawaをみてね。

シクロクロスのためのランニングを開始

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すっかりオフシーズンになり、ランニングを開始しました。自転車のためのランニング。もちろんシクロクロスのためのランニングをです。

自転車しか乗らないので、自転車用の筋肉しかなく1km5分のペースで5kmも走れば、歩行も困難なほどの筋肉痛になってしまう、今はそんなレベル。

私が愛してやまないシクロクロスという競技は、自転車競技であるにもかかわらず、レース中に自転車から降りて自転車を担いだり押したり、エイサホイサとランニングする姿が印象的で、酔狂なスポーツととられがちだし、まぁ実際そうかもしれない。

でも、少しだけランニングの世界も覗いてみると、ランニングにも酔狂な世界はひろがっている。マウンテンバイクで長野の山を100kmを走るセルフディスカバリーイン王滝。自転車でもなかなかにキツイし、ゴール前に泣き顔になれる。

あれのトレイルランニングがあるらしい。距離は100kmどころか、100マイルもあり、24時間くらいかけて完走するらしい。富士山の外周をランで1周するウルトラトレイルマウントフジってのもある。

競技の種別に問わず、想像を超えた世界があるものだ。

完走を目指すとも思えないようなおかしな世界ではあるけど、数々の達成しえないと思っていた困難なレースやイベントにそれぞれ目標を掲げ、努力の後に達成し、その感動を味わい貪っているうちにそこにたどり着いているのだろう。

その世界は間違いなく「感動は自分の中にある!」と知るものたちの巣窟である。素晴らしいとしか言いようがない。

もし、あの山の中の100マイルを完走したら、いったいどうなるんだろう。

シクロクロスのためのランニングがどこへ向かうのか。自転車は楽しいしね。先ずはまたシクロクロスで感動したいしね。どうかな。

長い長いシクロクロスシーズンからオフシーズンに入り、ただ楽しくランをしたり、ただ楽しく自転車に乗ってストレスフリーになっていて、これはこれでいいんだけど、そろそろ気持ちはオンにする。まだまだ感動至上主義でありたいのね、自分なりに。

シクロクロスのフレーム選択、カーボンかクロモリか

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ロードでは少し機材に詳しく、はじめてシクロクロスの会場にきたあなたは参加者の自転車をみわたして何と思っただろうか。

自分の知らないメーカーの自転車が多い。細身の自転車も多い。白いタイヤは汚れ目立ちそうだな。リアディレーラだけ廉価なSORA⁉︎

ロードで知ったブランドのフレームやパーツをみつけることももちろんあるが総じて、参加者が自分だけのこだわりの自転車を用意している印象を受けないだろうか。

トップカテゴリでも細身のクロモリ(鉄)の自転車にまたがる出場者はポツポツいて、そのこだわりと実力に、初心者ももしかしてクロモリもありなんだろうかと選択肢がひろがりまくるという、夢というか、機材選択の迷いが生じることもあるだろう。

初心者はクロモリがいいか、カーボンがいいか。カーボンは落車したら壊れるんじゃないかといろいろと心配になるらしい。

落車したとしても乗り手の身体が先に落ちるし、ハンドルバーがある都合、フレームが直接地面にたたきつけられることは、ほとんどない。

カーボンが壊れるときは、クロモリも同じく凹む、もしくは壊れるときだ。

いやいや、ちょっと重くてもクロモリはしなやかで路面追従性が高いらしいし。カーボンはどうなのか。もんもんもんもんもんもん。

走力が十分ではない初心者が迷うべきは素材選択ではない。必要なのは軽さだ。

降車して自転車を担いで階段をのぼったり障害物をとびこえたりする場面は必ずやってくる。重い自転車はとにかくここで消耗する。ひょいひょいと軽快に駆け上がるライバルに食らいついたとしても、消耗の差が違ってくる。

消耗すれば乗車後にも影響してしまう。だから、とにかく軽く。とにかく。

シクロクロスをはじめたばかりのころの私も、総重量10kgもあるクロモリの自転車に乗ってレースに挑んだことがある(冒頭の写真)。そのときは障害物をクリアするたびに泣きがはいった。

クロモリのオーダーフレームに財を注ぎ、カーボンフォークにカーボンホイールをはかせ、超軽量な自転車を目指すのもいいだろう。それはきっと超こだわりの世界。

そこまでのこだわりはなく、ひとまずレースに出場し成績を伸ばしたいと願い、クロモリかカーボンかでただ迷っているとしたら手っ取り早いのはカーボンのフレームを使うことだ。

最近は軽くてしなやかなアルミフレームもでてきたらしいし、いろいろ例外はあるけどね。

写真・しかまさん(Team CUORE)

サヨナラできない肩の痛み

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落車で何度か頭を打ちつけている後遺症で、肩甲骨のあたりにクリーチャーを飼いならしている。私の身体に触れた整体師の人数は、両手で数えられる程度だが、全員が「ここ何かいますね」と指摘してきた。

また昨日、あの痛みがやってきた。眼が覚めると痛みで起き上がれなくなっていた。上半身の動きに肩まわりが追従してこない例のやつだ。

カルテによるとこの激痛で泣いていたのは、去年の5月、天気のよい日曜日。日曜日でも診てもらえる先生を必死になって探した。

広告費をたっぷりとかけ「カードの支払い可能」をでかでかとサイトにうたい、いかにも高額請求しそうな近場の整体を邪魔くさいと思いながら。

約1年ぶりの再会に「春になると痛むんでしょうかね」と葛飾区の整体師。桜の開花がはじまっている。

施術は全体のマッサージ、鍼と鍼への電流、置き鍼、湿布。黙々ととても丁寧に試行錯誤してくれる。

「明日も来れる? 明後日は?」と次回の通院を急かすことはせず、今日のベストを尽くしてくれる。

夜は、眠るとまた悪化するだろうと恐怖して夢に落ちたが、今朝もひどい痛みはあっても確実に良化している。

顔に吹き出物がふたつ、肩が爆発とシクロクロスのオフシーズンに入った瞬間にゆるんでしまった。

今朝の体重59.5kg、体脂肪率11.6%、数ヶ月ぶりの50kg台がやってきた。ほぼベスト体重もまったく意味がない。
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遠征車に愛をこめて

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年間10戦以上の参戦となるシクロクロス遠征の相棒はFIAT500。

排気量875ccのツインエア(2気筒)のターボエンジンのマニュアルトランスミッション車で、アクセルワークへのレスポンスもいい。

排気量を小さくして燃費向上とエンジンそのものの軽量化をはかり、そこにターボをつけることにより走行性能もあげていく。ヨーロッパでは主流になりつつあるこのダウンサイジングの思想を取り入れたエンジンがツインエア。2011年のインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー総合最優秀賞も受賞しているFIAT社の意欲作だ。

自転車を載せハンドルをにぎるたび、運転のよろこびがこみあげる。

遠征先のワインディングを軽快に走るのも、はやめのシフトチェンジでスピードはゆっくりと、市街地でドコドコと鳴るエンジン音に耳を傾け走るのもまた楽しい。

シクロクロスをはじめてから買った車で、小さな車がレース遠征にはちょっと不便なのは承知の上。まず荷物が乗らない。後部座席を倒しても車内積みできる自転車は1台のみとなる。

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(ごんださん撮影)

写真のように屋根にサイクルキャリアをつければ、すなわちイタリアン・スタイルなんだとか。イタリア人が言うんだからたぶんそうなんだろう。イタリアの車に、イタリアの自転車グエルチョッティ、自転車にはイタリアのコンポーネントが備えつく。気づけば、人間だけが純ジャパニーズだったわけ。

この小さな車にサイクルキャリアはおさまりが悪くやや不恰好だけど、ひとたび不恰好をあきらめてしまえば自転車4台に4人乗車も不可能ではない。

小さな車にすし詰めになっての4人遠征は必然的にワイワイガヤガヤと意外なほどに盛り上がるものだ。

シクロクロスのレース会場に着くと、ついつい愛車の写真を撮ってしまう。記念撮影は高速道路で殺めてしまったフロントガラスの虫の亡骸を拭き取ってからね。どんなスピードで走ってきたかは、愛車と私だけの秘密である。

シクロクロス最終戦を終えて、シーズン中は載せっぱなしにしているウォーミングアップ用のローラーをおろすと荷台は広々と、泥のかけらだけが車内に残って、おセンチに。

また来シーズン。ありがとね。

茨城シクロクロス城里町 第2戦

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昼は働き、隙間の時間をみつけて自転車に乗る。苦しいだけのローラートレーニングも、明日の勝利のよろこびのため。トップカテゴリに昇格するため。

生まれ持った身体能力の差や、いま置かれている環境などなど、個々に違いはあれど、いまのカテゴリ2を走っている人たちは、おそらくそうやってきている。

積極的におのれの不節制を晒すのは、裏でこっそりと積み重ねている努力と少しの自信のあらわれかもしれない。ビールだけをただ飲んでいるわけではないんだ。

最終戦の茨城・城里町でのレースを終え、オフシーズンに入った解放感から、会場で販売していたリブステーキに手を出した。

肉汁したたる焼きあがりそうな肉塊についつい。というわけだけど、脂を口にしてカラダが受け付けないことに気づく。

今日、終盤まで優勝圏内でレースをすすめていたSさんもリブステーキを手にしていた。

「乗ってないといっても乗ってるし、食べているといっても食べてない。鶏肉の味に慣れた味覚がこの脂を受け付けない」そんな話をした。

さてレースは最前列スタート。やや練習量を抑え気味に過ごし、気になっていた腰の痛みもほとんどなく体調は悪くはない。最前列だから、おそらくトップにたつ。先頭にでてから全力でいきすぎて惨敗してきたこれまでの反省をいかし、先頭に出たら抑えめペース。
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スタートラインから始まる傾斜のある舗装路の直線は、体重を3週間で2kg落とした効果でスルスルとのぼれてしまう。

トップにたつまでは予定通りになった。抜きづらい斜面を先頭で抜け、担ぎの階段へ。階段も担ぎ方を変えたことで、苦手意識を克服した。

誰よりも速くなくてもいい、並のスピードと階段後の消耗を抑える担ぎ方を模索した。

階段をあがると、後続が離れていた。息があがりすぎている感覚もなく後ろを確認。

もしかしたらもしかして、もしかしたら、まさかまさかの“うっかり昇格”もあるのか。そんな気持ちがよぎった。しかし、うっかりはなかった。

追いつかれて、そこから立て直すフィジカルも勝者のメンタリティも持ち合わせていなかった。勝てないのなら、あきらめてしまう敗者のメンタリティしか持っていなかった。

うっかりはなかった。うっかりのある世界ではなかった。脂身を食べてる場合ではないのだ。

写真・なかしまさん(ERATEH)

湘南ベルマーレシクロクロス平塚

f:id:keroringo:20160322000044j:plain 得るものがまったくなかった。レース展開に入る前に、落車してしまいチェーン落ち。そこでプッツリと気持ちは切れ、追い込むことができずに終わってしまった。今シーズンのワーストレースと言っていい。

今日は4列目からのスタート。コース幅は広くなく抜きどころ少なめのコースレイアウトなので、団子状態がしばらく続く。2周めに入って、やはりたやすくは前に出ることがかなわないとわかると、背後について温存する策に徹する。

落車は2周めのバックストレートで起きた。パックで走っていて前方があまり見えないなか、リラックスを強く意識したあまり、ハンドルをふんわり握りすぎていて、路面のでこぼこでハンドルがとられて吹き飛んでしまった。

集中力が欠けていた。でこぼこした路面は、試走でわかっていたこと。

ラップタイムから計算すると、チェーン落ちの復帰まで25秒ほどかかっただろうか。

コース復帰したときには孤立してしまい、強い向かい風に吹かれてなす術がなかった。吹き飛んだときにペダルをスネに強打したらしく、じんじんと痛むのも気になる。

いつもと違うレース前の1週間を過ごした。過ごし方を意識して変えた。

とにかく「きつい、つらい、苦しい」を欲して、平日の夜にクロッサー仲間と公園の階段を猛ダッシュし、喉血が出そうになるほど追い込んだ。

泣きの2セット目もまたきつかった。今ここにある階段ダッシュがわれわれの本番であり、青春謳歌でもあったと言いたい気がしないでもない深夜の宴。いい歳をした男たちが集まって、アルコールを自転車にかえてキャッキャうふふと意地の張り合い。

翌日やってきたのは二日酔いではなく腰痛と各部筋肉痛だった。

レース直前の土曜日にも荒川の荒れ地と荒れ地をつなぐサイクリングで楽しく追い込み、腰痛に腰痛を重ねてしまった。

今日は試走でも腰が痛く、レース前の過ごし方としては、まったくいけてなかったと思い知る。

いつもと同じじゃまた同じ結果に終わると思いそうしてみたけど、どうやらこれは失敗だったようだ。

「自転車に運んでもらうのではなく、自転車を操作しなくてはならない」とは、とある教本の言葉だが、今日はレース中にこの言葉が浮かぶほど、自転車を操作していなかった。

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