遠征車に愛をこめて

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年間10戦以上の参戦となるシクロクロス遠征の相棒はFIAT500。

排気量875ccのツインエア(2気筒)のターボエンジンのマニュアルトランスミッション車で、アクセルワークへのレスポンスもいい。

排気量を小さくして燃費向上とエンジンそのものの軽量化をはかり、そこにターボをつけることにより走行性能もあげていく。ヨーロッパでは主流になりつつあるこのダウンサイジングの思想を取り入れたエンジンがツインエア。2011年のインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー総合最優秀賞も受賞しているFIAT社の意欲作だ。

自転車を載せハンドルをにぎるたび、運転のよろこびがこみあげる。

遠征先のワインディングを軽快に走るのも、はやめのシフトチェンジでスピードはゆっくりと、市街地でドコドコと鳴るエンジン音に耳を傾け走るのもまた楽しい。

シクロクロスをはじめてから買った車で、小さな車がレース遠征にはちょっと不便なのは承知の上。まず荷物が乗らない。後部座席を倒しても車内積みできる自転車は1台のみとなる。

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(ごんださん撮影)

写真のように屋根にサイクルキャリアをつければ、すなわちイタリアン・スタイルなんだとか。イタリア人が言うんだからたぶんそうなんだろう。イタリアの車に、イタリアの自転車グエルチョッティ、自転車にはイタリアのコンポーネントが備えつく。気づけば、人間だけが純ジャパニーズだったわけ。

この小さな車にサイクルキャリアはおさまりが悪くやや不恰好だけど、ひとたび不恰好をあきらめてしまえば自転車4台に4人乗車も不可能ではない。

小さな車にすし詰めになっての4人遠征は必然的にワイワイガヤガヤと意外なほどに盛り上がるものだ。

シクロクロスのレース会場に着くと、ついつい愛車の写真を撮ってしまう。記念撮影は高速道路で殺めてしまったフロントガラスの虫の亡骸を拭き取ってからね。どんなスピードで走ってきたかは、愛車と私だけの秘密である。

シクロクロス最終戦を終えて、シーズン中は載せっぱなしにしているウォーミングアップ用のローラーをおろすと荷台は広々と、泥のかけらだけが車内に残って、おセンチに。

また来シーズン。ありがとね。